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論文

福島第一原発港湾から流出した放射性ストロンチウム$$^{90}$$Sr($$^{89}$$Sr)量の経時変化の推定; 原発事故から2022年3月までの流出量変化の分析と福島沿岸および沖合への環境影響評価

町田 昌彦; 岩田 亜矢子; 山田 進; 乙坂 重嘉*; 小林 卓也; 船坂 英之*; 森田 貴己*

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(4), p.119 - 139, 2023/11

本論文では、2013年6月から2022年3月までの福島第一原子力発電所(1F)港湾からの$$^{90}$$Srの月間流出量を、港湾内の$$^{90}$$Srのモニタリング結果からボロノイ分割法を使用して推定した。その結果、2015年の海側遮水壁閉合が、流出量の削減に最も効果的であったことがわかった。また、福島沿岸および沖合のバックグラウンドレベルから放射能濃度の上昇を観察するために必要な月間流出量を推定し、事故後の流出量の変遷と沿岸および沖合での放射能濃度の変化について議論した。これらの結果は、1Fに蓄積された処理水の今後の放流計画に対する環境影響を考慮する上で重要と考えられる。

論文

福島県木造家屋内外の空間線量率の分布調査; 線量低減係数の実態

Kim, M.; Malins, A.*; 町田 昌彦; 吉村 和也; 斎藤 公明; 吉田 浩子*

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(4), p.156 - 169, 2023/11

福島県木造家屋内外の空間線量率分布の特徴を明らかにすることを目的に、空間線量率の連続測定が可能な$$gamma$$プロッター等を用いて実測調査を行った。その結果、舗装面と非舗装面で空間線量率が明確に異なりまた、家屋近辺は家屋から離れた場所に対して低い空間線量率を示すことが分かった。また、家屋内の空間線量率は屋外に比べて空間線量率のバラツキが小さいことが分かった。

論文

マイナーアクチノイド核変換用窒化物燃料の乾式再処理における崩壊熱の影響

林 博和; 津幡 靖宏; 佐藤 匠

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(3), p.97 - 107, 2023/08

加速器駆動システムによるマイナーアクチノイド(MA)核変換技術開発において、高濃度MA含有窒化物燃料及びその再処理に関する研究開発が行われている。本研究では、燃料に含まれる超ウラン元素(TRU)の崩壊熱が乾式再処理プロセスに与える影響を評価するため、各物質の発熱量及びアルゴンガス雰囲気での各物質の温度上昇値を推定し、これらの計算結果及び各物質の制限温度の設定値を用いて、乾式再処理プロセスにおける各物質の取扱制限量を検討した。さらに、この検討結果を基に、直径26cm塩浴深さ13cmの溶融塩電解槽25基によって、ADS1基分の使用済MA燃料を200日間で処理することを提案した。また、TRUを回収したCd陰極から窒化物を製造する蒸留窒化工程については、直径4cm高さ4cmのCd陰極を4分割したCd-TRU合金を原料とすることを提案した。これらの物質量及び装置規模と台数に関する検討結果から、MA核変換用窒化物燃料の乾式再処理工学規模装置の実現性は高いことが示唆された。

論文

シルトフェンスによる懸濁粒子の水底堆積促進効果; シミュレーションによる矩形開水路での放射性物質の拡散抑制評価

山田 進; 町田 昌彦; 有川 太郎*

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(2), p.73 - 86, 2023/06

本論文では、水路等に設置したたわみのあるシルトフェンスによる放射性物質の付着した懸濁態の拡散抑制効果について計算機シミュレーションにより評価した結果を報告する。本研究では、シルトフェンスが設置された水路内の流れ場を求めるために、シルトフェンスの変形と流れ場の連成シミュレーションを実施し、計算で得られた流れ場内での懸濁態の振る舞いを評価した。その結果、シルトフェンスを設置することで、粒径が小さく沈降速度の遅い懸濁態の堆積が促進できることを見出した。

論文

MOX燃料ペレットの機械学習焼結密度予測モデル

加藤 正人; 中道 晋哉; 廣岡 瞬; 渡部 雅; 村上 龍敏; 石井 克典

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(2), p.51 - 58, 2023/04

高速炉燃料として使用されるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)ペレットは、ボールミル,造粒,プレス,焼結などのプロセスを経て、機械的混合法によって製造されている。重要な燃料仕様の一つであるペレット密度を制御することは不可欠だが、製造工程における多くのパラメーター間の関係を理解することは困難である。日本での生産実績からMOX製造データベースを作成し、18種類の入力データを選定してデータセットを作成した。MOXペレットの焼結密度を予測するための機械学習モデルは、勾配ブーストリグレッサーによって導出され、測定された焼結密度をR$$^{2}$$=0.996の決定係数で表すことができた。

論文

帰還困難区域内での家屋解体・線量低減措置に伴う作業員の外部被ばく評価解析

眞田 幸尚; 時吉 正憲*; 西山 恭平*; 佐藤 里奈; 吉村 和也; 舟木 泰智; 阿部 智久; 石田 睦司*; 長峰 春夫*; 藤坂 基幸*

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(2), p.87 - 96, 2023/04

福島第一原子力発電所の事故以来、多くの除染作業が行われたが、作業員の被ばくに関するデータは必ずしも詳細に分析されているとは言い難い。本論文では、作業員が個人線量計とともに携行したGPS位置情報をもとに、作業区域の空間線量率や作業種別ごとの特徴を分析した。その結果、実測線量の50%以上が、空間線量率と実働時間から計算される計画線量の中央値の2倍以上であることがわかった。さらに、作業種別に分析した結果、解体作業者の被ばく線量が高い傾向にあり、これは、作業現場での線量を低減するために、作業前にほとんどの作業を実施していることが原因であることがわかった。また、空間線量から実効線量への換算を考慮すると、計画値が実測値より低くなる過小評価の事例が多く、適切な作業係数を設定することが管理上重要であると考えられる。

論文

福島前面海域におけるトリチウム存在量の推定とその経時変化; 福島沿岸および沖合のトリチウム存在量と1F貯留量および年間放出管理量との比較

町田 昌彦; 岩田 亜矢子; 山田 進; 乙坂 重嘉*; 小林 卓也; 船坂 英之*; 森田 貴己*

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(1), p.12 - 24, 2023/01

2013年から2021年の1月まで、福島第一原子力発電所周辺の福島沿岸と沖合という二つのエリアで、トリチウムのモニタリングデータからそのインベントリーの経時変化を推定した。それらの結果から沖合のエリアにおけるインベントリー平均量は、1Fに貯留されているトリチウムの凡そ1/5程度であり、その時間変動量は、1F貯留量の1/20程度ということが分かった。これらの結果は、既に海域に存在しているトリチウムのインベントリーが、1F貯留量の放出に際し、無視できないことを示している。また、その沖合の一定のエリアにおけるインベントリーの評価を1960年代にまで遡ると、過去には核実験により、平均して1F貯留量の4倍程のトリチウムインベントリーが1960年代に存在していた他、1960年から1980年代にかけて凡そ30年に渡り、1F貯留量と同程度かそれ以上のインベントリーが存在していたことが分かった。この事実は、過去に既に1F貯留量を瞬時に放出し当該沖合の海域に滞留するとした保守的条件より遥かにトリチウムが海洋中に存在していた時期が長期間あったことを示している。更に、トリチウムのインベントリーを千葉から宮城沖まで含めた領域に拡大し評価すると、現在、1F貯留量の凡そ半分が存在していることが分かる。ここで、トリチウムの被ばく量を魚食を通じた内部被ばくと仮定し、1F貯留量がその拡大領域にて拡散し1年滞留するとした保守的評価をすると、その量は、自然放射線からの寄与の100万分の一程度であり、殆ど無視できることが分かった。

論文

再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発乾固時の事象進展の整理

山口 晃範*; 横塚 宗之*; 古田 昌代*; 久保田 和雄*; 藤根 幸雄*; 森 憲治*; 吉田 尚生; 天野 祐希; 阿部 仁

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 21(4), p.173 - 182, 2022/09

確率論的リスク評価(PRA)から得られるリスク情報は、原子力施設におけるシビアアクシデント対策の有効性を評価するために有用である。再処理施設に対するPRA手法は原子力発電所のそれと比べて未成熟と考えられ、本手法を成熟させるためには事故シナリオの不確実性を低減することが重要となる。本論文では、再処理施設におけるシビアアクシデントである高レベル廃液の沸騰による蒸発乾固への事象進展と、それに伴う放射性物質の移動挙動に関する文献調査の結果をまとめた。Ruの重要な特徴の一つは、事象進展の過程で揮発性化合物を形成することであり、本稿ではその移動挙動を温度に基づいて4段階に分類した。高温まで至った乾固物からはRuは放出されない一方、Csのような他の揮発性元素が放出される可能性がある。実験データは未だに不十分な状態であり、放射性物質の移行挙動の温度依存性を明らかにすることが求められる。

論文

商用高温ガス炉発電原価の再評価

深谷 裕司; 大橋 弘史; 佐藤 博之; 後藤 実; 國富 一彦

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 21(2), p.116 - 126, 2022/06

高温ガス炉の経済性評価に関し、評価法の改良を行った。日本原子力研究開発機構では、商用高温ガス炉概念であるGTHTR300とその経済性評価法を約10年前に完成させた。その評価法は電気事業連合会の評価法に基づいたものである。この電気事業連合会の評価法は福島第一原子力発電所事故の後、大幅な改訂がなされている。さらに、最新の発電原価を評価するためには、物価,労働賃金の10年分のエスカレーションを考慮する必要がある。そこで、GTHTR300の発電原価の評価法を見直し、その発電原価と軽水炉の発電原価の比較を行った。その結果、同じ設備利用率70%において、高温ガス炉の発電原価は7.9円/kWhとなり、軽水炉の11.7円/kWhと比較すると30%程度安価になることが分かった。

論文

プルトニウム燃料取扱施設の廃止措置におけるエアラインスーツを用いた解体撤去作業等の安全性向上

菊池 遼; 平野 宏志*; 北村 哲浩

日本原子力学会和文論文誌, 21(1), p.50 - 63, 2022/03

日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所においては、プルトニウムにより汚染されたグローブボックスや機器の解体等にエアラインスーツが活用されている。エアラインスーツは、呼吸用空気供給ホース(エアラインホース)を通じて浄化された空気をエアラインスーツ作業者へ給気するとともに、放射線影響から保護する個人用保護具の一つとして、類似作業において広く導入実績を有している一方で、それら装備・設備に起因する潜在的リスクが依然として存在している。核燃料サイクル工学研究所においても、過去の放射線作業において、解体撤去作業中に作業者の放射線被ばく事象が発生しており、それら過去の被ばく事象等の反省を踏まえて、解体撤去作業中の作業者の安全確保を目的として様々な対策・改善に取り組んできた。一例としては、安定した給気ができる改良型エアラインホースへの交換や、冷却・除湿のためのコンプレッサの設置、空気供給連続監視システム等の設置を行っている。本資料では、エアラインスーツを用いた解体撤去作業を通じて取り組んできたエアラインスーツに関する改良例及びエアラインスーツ作業時の放射線管理の状況について報告するものである。

論文

福島第一原発港湾から流出したトリチウム量の経時変化の推定; 流出量変化の要因分析と福島事故前後の日本および世界の原子力施設との排出量比較

町田 昌彦; 岩田 亜矢子; 山田 進; 乙坂 重嘉*; 小林 卓也; 船坂 英之*; 森田 貴己*

日本原子力学会和文論文誌, 21(1), p.33 - 49, 2022/03

本論文では、福島第一原子力発電所の港湾口から沿岸へと流出するトリチウム量を、港湾内のトリチウムモニタリング結果から推定し、事故当初の2011年4月から2020年3月までの凡そ9年間に渡り、月間流出量を算出した。その結果、2015年の海側遮水壁閉合により、未知の流出は殆ど抑制されたことが分かった。また、この推定量を基に、日本全体の原子力施設からのトリチウム年間排出量を求め、事故前後の排出量の変遷を議論した。その結果、2015年以降、福島第一原子力発電所からの流出量は、事故前の約半分程度となっている一方、事故後の日本全体の排出量は大きく減少していることが分かった。

論文

鉄筋コンクリート耐震壁に対する等価線形解析の適用性検討; 原子炉建屋耐震壁終局応答試験の三次元有限要素法シミュレーション解析

市原 義孝*; 中村 尚弘*; 森谷 寛*; 堀口 朋裕*; 崔 炳賢

日本原子力学会和文論文誌, 21(1), p.1 - 14, 2022/03

本研究は、鉄筋コンクリート構造物の非線形性の影響を近似的に等価線形解析手法による地震応答解析で評価することを目的に、1996年にOECD/NEAによる国際解析コンペで使用された原子炉建屋耐震壁終局応答試験の三次元有限要素法によるシミュレーション解析を実施した。耐震壁の等価剛性及び等価減衰は、日本電気協会が提案するトリリニア型スケルトンカーブ、Cheng et al.が提案する履歴曲線より求め、せん断ひずみ調整ファクターは感度解析より0.70に決定した。その結果、せん断ひずみ$$gamma$$=2.0$$times$$10$$^{-3}$$程度までの試験体上部の卓越振動数,最大応答加速度,最大応答変位,慣性力-変位関係,床応答スペクトルを良く再現できることを明らかにした。本報における等価線形解析は、$$gamma$$=4.0$$times$$10$$^{-3}$$程度の終局破壊時の最大応答変位を過小評価している。このため、破壊直前の急激な変位の増大を含む試験結果の評価に本手法を適用する場合は、その適用性に十分留意する必要がある。

論文

可搬型ゲルマニウム半導体検出器を用いた${it in situ}$測定による福島第一原子力発電所から80km圏内の土壌中天然放射性核種の空気カーマ率評価

三上 智; 田中 博幸*; 奥田 直敏*; 坂本 隆一*; 越智 康太郎; 宇野 騎一郎*; 松田 規宏; 斎藤 公明

日本原子力学会和文論文誌, 20(4), p.159 - 178, 2021/12

2011年の福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の影響のある地域で地殻ガンマ線によるバックグラウンド線量率のレベルを調査した。可搬型ゲルマニウム半導体検出器を用いて福島第一原子力発電所から80km圏内の370地点で、2013年から2019年にかけて地殻ガンマ線を測定した。ICRUレポート53に示される方法によってウラン238($$^{238}$$U),トリウム232($$^{232}$$Th)及びカリウム40($$^{40}$$K)の土壌中放射能濃度とこれらによる地上1m高さにおける空気カーマ率を測定評価した。$$^{238}$$U, $$^{232}$$Th及び$$^{40}$$Kの370地点の平均濃度はそれぞれ18.8, 22.7, 428Bq/kgであった。また、空気カーマ率の対象エリアの平均値は0.0402$$mu$$Gy/hであった。得られた空気カーマ率を文献に報告されている値と比較した。その結果、本研究による測定結果は文献に報告されている値と互いに相関があり、数値は不確かさの範囲内で一致していた。これは地殻ガンマ線による空気カーマ率は地質に依存するためである。地質時代が中生代、地質が花崗岩や流紋岩に分類される地点の空気カーマ率はその他の時代や岩石種に分類される地点の空気カーマ率に比べて統計学的に有意に高いことが確認できた。これは、既報の知見と整合する結果であった。

論文

ヨウ化セシウムおよびモリブデン酸セシウムの室温近傍における水への溶解度に関する研究

井元 純平; 中島 邦久; 逢坂 正彦

日本原子力学会和文論文誌, 20(4), p.179 - 187, 2021/12

福島第一原子力発電所の炉内や原子炉建屋内のCsの一部は、CsIやCs$$_{2}$$MoO$$_{4}$$といった化学形で沈着すると考えられているが、Cs化合物の多くは水溶性であるため長期的には水相を介した移行が起きると推察される。このような移行挙動評価のための基礎データとして、水への溶解度に関する知見が必要である。そのため、本研究では20$$^{circ}$$C及び25$$^{circ}$$CにおけるCsIとCs$$_{2}$$MoO$$_{4}$$の水への溶解度について調べることを目的とした。その結果、熱力学的データとPitzerモデルから計算された25$$^{circ}$$CでのCsIの溶解度は、文献値とよく一致していることが示され、室温付近のCsIの文献値は信頼性が高いことが分かった。OECDテストガイドライン105フラスコ法(テストガイドライン)を使用した20$$^{circ}$$CでのCsIの実験値も、文献値とよく一致していた。テストガイドラインを使用して測定した20$$^{circ}$$CのCs$$_{2}$$MoO$$_{4}$$の溶解度は、256.8$$pm$$6.2(g/100g H$$_{2}$$O)となった。このCs$$_{2}$$MoO$$_{4}$$の溶解度は、他のアルカリモリブデン酸塩の溶解度と同程度であることがわかり、文献値よりも信頼性が高いと考えられる。

論文

避難指示区域の解除に向けた特定復興再生拠点の放射線モニタリングと被ばく評価

眞田 幸尚; 操上 広志; 舟木 泰智; 吉村 和也; 阿部 智久; 石田 睦司*; 谷森 奏一郎*; 佐藤 里奈

日本原子力学会和文論文誌, 20(2), p.62 - 73, 2021/06

内閣府原子力被災者生活支援チームは、2022年春頃から2023年春頃までに避難指示解除が計画される「特定復興再生拠点区域」において、放射線防護対策を検討している。放射線防護対策を検討するにあたり、当該区域の汚染状況の把握と被ばく線量の評価は必要不可欠である。福島第一原子力発電所の事故以降、数々のモニタリングにより空間線量率分布が評価され、またこの空間線量率を元に、被ばく線量が推定されてきた。一方、当該区域は比較的空間線量率が高く、放射線防護に対してより慎重な配慮が必要であるため、被ばくに係る詳細な情報が求められている。そこで本研究では、詳細な汚染状況と、当該区域の状況に即した被ばく線量を評価することを目的とし、(1)無人ヘリコプターによる空間線量率の測定、(2)大気中の放射性セシウム濃度の測定、(3)代表的な行動パターンにおける外部・内部被ばく線量の評価を実施した。併せて、空間線量率分布のモニタリング手法と、被ばく線量評価方法の高度化を検討した。今後の放射線防護において有効な、新たな空間線量率のモニタリング手法と被ばく線量評価方法の妥当性を示した。

論文

デンドリマーを用いた圧縮ベントナイト中のコロイドの拡散・ろ過挙動の評価手法の構築

遠藤 貴志*; 舘 幸男; 石寺 孝充; 寺島 元基

日本原子力学会和文論文誌, 20(1), p.9 - 22, 2021/03

デンドリマーを用いた圧縮ベントナイト中のコロイドの拡散・ろ過挙動の評価手法を構築した。サイズが5.7$$sim$$7.2nmのPAMAMデンドリマーコロイドの拡散・ろ過挙動を、塩濃度0.005$$sim$$0.5mol/L NaCl溶液で飽和させた乾燥密度0.8Mg/m$$^{3}$$のベントナイトを対象に、透過拡散試験によって調査した。得られた破過データと内部プロファイルから、デンドリマーコロイドの実効拡散係数とろ過率を導出した。取得された実効拡散係数は、塩濃度とともに増加する傾向を、ろ過率は逆に塩濃度とともに減少する傾向を確認した。これらの傾向は、先行研究で得られたイオンやコロイドの拡散データと整合するほか、塩濃度の変化に伴う間隙構造や静電的相互作用等から推定される傾向と一致するものであり、ここで構築したコロイドの拡散・ろ過挙動の有効性が確認された。

論文

C12137-01型CsI(Tl)検出器を搭載したKURAMA-IIによるバックグラウンド測定のための評価式の決定

安藤 真樹; 松田 規宏; 斎藤 公明

日本原子力学会和文論文誌, 20(1), p.34 - 39, 2021/03

福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質の影響のない11地点において、高感度型CsI(Tl)検出器であるC12137-01型を搭載したKURAMA-IIによるバックグラウンド評価式を求めた。高感度型KURAMA-IIでは計数率はC12137型CsI(Tl)検出器を搭載した標準型KURAMA-IIを用いた場合の10倍以上となり、標準型KURAMA-IIより測定時間が短くとも精度よいバックグラウンド評価が可能であることが示された。1400-2000keVの計数率と空間線量率のフィッティング式を補正して得られたバックグラウンド評価式は、y($$mu$$Sv/h)=0.062x(cps)であった。走行サーベイ測定データを用い、71区市町の平均値としてバックグラウンド空間線量率を示すとともに、これまでの標準型KURAMA-IIでの測定結果と比較した。高感度型と標準型のKURAMA-IIによるバックグラウンドはほぼ一致しており、高感度型KURAMA-IIでのバックグラウンド測定に適用可能なバックグラウンド評価式を求めることができた。

論文

高速炉蒸気発生器伝熱管のセルフウェステージ現象解明実験

梅田 良太; 下山 一仁; 栗原 成計

日本原子力学会和文論文誌, 19(4), p.234 - 244, 2020/12

ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器では、伝熱管を介してナトリウムと水との熱交換が行われるため、何らかの原因により伝熱管が損傷した場合には、Na中に高圧の水/蒸気が漏えいし、Naと水との発熱反応により特有の高温・高アルカリ環境が形成され、隣接伝熱管が損耗する恐れがある。本報ではNa-水反応の起因事象となるセルフウェステージ現象のメカニズムを解明することを目的に、伝熱管の初期欠陥(微細円孔型と疲労き裂型の貫通欠陥)を模擬した試験体を用いて、セルフウェステージが継続的に進展する条件下で実験を実施した結果について述べる。セルフウェステージ率に及ぼす初期貫通欠陥形状(微細円孔,疲労き裂)による影響は有意ではなく、セルフプラグ現象のメカニズムとして、Na酸化物が介在して、セルフウェステージの進行を阻害するものと推察された。本実験及び既往実験で得られたセルフウェステージ率より、従来の相関式では陽に表れなかった初期のNa温度の影響が明確に現れ、この傾向を基に初期のNa温度を考慮した新相関式を導出した。

論文

高燃焼度燃料への非常用炉心冷却系性能評価指針の適用性検討に関する研究の状況

小澤 正明*; 天谷 政樹

日本原子力学会和文論文誌, 19(4), p.185 - 200, 2020/12

発電用軽水炉(LWR)では、冷却材喪失事故時に炉心の冷却可能形状を維持するとともに放射性核分裂生成物の公衆及び環境への放出を最低限にするために設計された非常用炉心冷却系(ECCS)が設けられている。LWR用ECCSに関する規制基準は、設計上の安全機能及び性能の評価並びに安全評価結果の安全裕度を確保するために定められている。日本における現在の基準は1981年に定められ、これは旧基準に対し当時の知見を加えたものである。この基準制定以降、燃料被覆管の材質、設計等を変えることで燃料燃焼度が進展し、これに伴い高燃焼度燃料のLOCA時の安全性を評価する研究を通して更に知見が蓄積されてきた。本論文では、日本の現行のECCS基準の高燃焼度燃料への適用性に関する最近の研究成果と今後の課題をまとめた。現在までに得られている研究成果によれば、燃焼度進展がLOCA時の被覆管酸化や急冷時破断限界に及ぼす影響は小さく、現行基準が高燃焼度燃料にも適用可能であることが分かった。

論文

使用済燃料直接処分での処分容器の耐圧厚さの検討

杉田 裕; 谷口 直樹; 牧野 仁史; 金丸 伸一郎*; 奥村 大成*

日本原子力学会和文論文誌, 19(3), p.121 - 135, 2020/09

使用済燃料を直接処分するための処分容器の一連の構造解析を実施して、処分容器の必要な耐圧厚さの予察的な検討結果を示した。直線,三角形,正方形に配置された2, 3, 4体の使用済燃料集合体を収容するように処分容器を設計した。処分容器の胴体部分および蓋部分の必要な耐圧厚さを評価するため、使用済燃料集合体の収容スペースの離間距離をパラメータとした。この検討では、応力評価ラインの設定の妥当性や解析におけるモデル長の影響など、解析に関する技術的知識も得られた。そして、これらは、さまざまな条件下で同様の評価を実行したり、より詳細な評価を進めたりするための基盤として参考となるものである。

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